Death earth love-R 【13-14】

 

 

 

 ★今回の本編とは関係ない【かのりっち初期イラスト】

テキトーに描いたら友人達に好評だったので、核キャラになりましたよ( ̄▽ ̄)ノ

↓最初のラフ                              ↓コスチューム設定

 

 【壱拾参話】

俺は月と地球の中間に居て、相変わらず美しく蒼く光る地球を眺めていた。 
とても心奪われる光景だった。 

しかし、ふと自分の姿を見ると紺色のペイズリー柄のトランクス一枚で宇宙に浮かんでいた。 
・・・とても見苦しい・・・悲しい光景だった。 

多分・・・これは俺が自宅などで一番リラックスできるスタイルだったからだろう・・・一人で居る時などはいつもこの格好だった。 
しかし、宇宙では囲まれる壁もなかった・・・のですごく恥ずかしい気がした。 
そこで、服を急いで着替える自分のイメージを強く思い浮かべていたら・・・ボヤ〜〜〜と服の色合いが出て来て、いつも着ているプーマの緑色のジャージ姿にまでなった。部屋で歩いていて家具のふちに引っ掛けてほつれた状態まで再現出来ているのまでは必要なかったのだけどな・・・さて、もう少しだけイメージすれば白衣も着れるかな? 

白衣も現れた・・・一昨日こぼした醤油のシミまで再現出来た・・・一安心した。 

落ち着いて自分の体を良く見回した。俺の体は白っぽい光で覆われている・・・さて、これには見覚えがある・・・そうだ【堀井綜】が死んでアストラル体になった時と同じ様に見えた・・・故に現在の状態の俺は多分死んでいるらしい。 

死んでいるのだが、俺はこうやって存在していた・・・死ぬと黄泉の国に行くのに迎えが来るとか、三途の川を渡るなど聞いていたが、少し違うようだ・・・不思議な気分だった。 

こうやって精神体だけの存在になると、実はかなり昔から知っていた事だと思うが・・・生きていた時において、世の中の謎とされていた事や人類が知りえない宇宙そのものの謎が明確に・・・思い出してきた。 

生物は地球上に生を受ける事を何度も繰り返す・・・いわゆる転生と呼ばれている事が常に行われている。 

肉体を持たない時は物質に対する何らかの関与が行えないので、その関与できない精神体の間のみ・・・全ての物質の関連性を裏づける理論が理解できている。 

物質には科学変化を起こすのにゆっくりとした時間が掛かる。その進行に合わせて、全ての知識が抹消された後、一人一人が物質社会のホンの小さな変化を担って転生する。そしてその目的を達成した後、死んで再び精神体に戻るのだ。 

生を授かり長生きする者や瞬間に死んでしまう者、事故や病気で亡くなってしまう者にも全ての役割が備わっており決して無駄ではない、記憶に残り・・・例えるなら、それが湖の中に落ちた一粒の水滴の様に波紋状に広がり影響を与え・・・文明が進行していく。 

NASAや各国機関が地球を離れ人類が宇宙に住む日を連想してた様だが、地球上の生物として生まれ、地球上で生きる役割を担っているのが人間であり、地球を離れて生物として生きる事は許されてない。 

物質は光のスピードを超えられないという⇒科学者アインシュタイン等の相対性理論があるが、あの理論には人間は地球から離れて暮らして行けないし、外部星系に移動する手段も見つける事が出来ないという意味合いが含まれている・・・要するに地球は人間を生かす為のムシカゴの様に設定されている様なモノだ。 


それでは何故、地球上で役割を担っていた・・・という人類は壊滅的な被害を受け・・・ほとんど滅んでしまったのか? 

少し考えていると、ス〜〜〜と何処からとも無く回答が俺の脳裏に浮かんでくる。精神体になると自分が何らかのネットワークに組み込まれているという事がよく解る。 
インターネットの検索機能の様に、自分の問いに対して精神体のネットワークから簡単な答えが取りだされるようだ。勿論秘匿事項もあるには違いないが・・・。 

地球上で起こった壊滅的な被害に関しての答えは次の様に理解できた。 

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地球上で行う人類の文明の進行は実はまだ数千年続く筈だったのだが、人類の最終目的を目指す目標自体が、突然の変異によって完成体になって発生したのだと解った。 

地球上で生きている人々にとっては大災害だったが、精神体にとっては生きる事は目標を創るまでの作業であり、完成したのであれば・・・ほとんどの生きている人間の作業は不要・・・という考え方となった。 

完成体に近い生命体であれば、津波による自然災害など意にも介さない事であるが、折りしもほとんどの人間は津波に飲み込まれて淘汰されてしまった。現在の状態で保護するには弱い存在だったと言える。 

被害後、両極端に移動した北海道と地球の真逆のブエノスアイレスに存続出来る可能性のある人類を偶発的に生き残らせた様である。 

とすると、北海道に残された俺達は完成体失敗の際の保険みたいな存在であった様だ。 
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俺は余計混乱してしまった。 
精神ネットワークに聞きたい事が山ほどあった。 

俺達は人類完成への保険的存在だったのか? 
存続できる可能性ってなんだ? 
何をすれば良いのか? 
完成体とはどのような状態の事を指すのか? 

・・・しかし、それ以上は精神ネットワークの回答は無かった。 
俺はまだやはりアウトロー扱いなのだろうか? 

さて、得られた少量の情報によると・・・その完成体は【澪菜】という一人の少女だという。 
その少女が正常に発育して思春期を迎え、母体として完成されたので、他のほとんどの人類は不要になったとも言える。 

俺に課せられた試練とは【澪菜】という少女に何か関連があるに違いなかった。 
完成体とはいったいどんな状態を指すのか??? 

どうやら月の表面に存在している宇宙ステーションに保護されているらしい。 

俺はその少女に会わなくてはいけない気がして来た。 
月は正面に見ている地球の反対側、つまり俺の真後ろにあり、振り返ると地球に当たった光が反射して青白く輝いて見えた。 

意識を月の表面に集中させる・・・すると月の表面上に構造物が確認できた。 
あそこに【澪菜という少女】が確かいる感覚がする。 
その場所は俺の記憶が確かなら・・・昭和44年にアメリカの月への有人探査船アポロ11号が降り立った。【静かの海】だった。 

【静かの海】は月の表側に位置しており、地球上から月を見上げると、古くから伝わる《月で餅つきをしているウサギ》の頭の部分に相当する。 
数十年経った今では、アメリカの建造物があるらしい。 

月は不思議な天体である。 
地球の周りを楕円軌道で27.32日で公転しているが、なぜか自転周期も同じ27.32日で、地球からは常に月の表面しか見えない事になっている。故に地球からは月の裏側は観察できない。地球から見えない月の裏側には宇宙人の基地があるとか無いとか・・・それ系の雑誌に書いてあった気がする。 

目的の場所である【静かの海】からは、常に地球を月の表側から観察できる位置にあって・・・ 
そこに【人類の完成体】が保護されているのは、意図的としか考えられなかった。 


月に向かう・・・つもりでいた。 
そして【澪菜】という存在を確認しなければ・・・と思った。 

移動しようと意識した時だった。 
「まだ、会うのは早いよ。」と声がした。 
そして、後から《グッ》と抱きしめられた。 

後手に振り返ると【かのり】がそこにいた。 
「おひさしぶり部長〜!やっぱり死んじゃったんだね」 
「かのり・・・あ、そうだ!オマエ俺をいつのまにロボットの体に・・・」 

怒ろうとしたら・・・口を口で塞がれてしまった。 
やはりキスは気持ちいい物だった。アストラル体になってもそれは変わらなかった。 

長いキスの後、暫くしてかのりが俺の目の前に人差し指を立てて言った。「部長には一緒に行って貰わなければいけない場所があります!・・・さぁ〜、さぁ〜もう時間がありませんよ〜。」 

そう言って《ドンッ!!》と俺を地球側に突き飛ばした。 
「!!!!!!」俺は物凄いスピードで地球側に落ちていった。 

昔と変わらず強引な女だ。進行している反対の足元を見ると【かのり】もちゃんと付いて来てくれている。 
俺がこの星に来てから数万公転周期、何度転生しても・・・いつも彼女がそばに居てくれた。 
彼女が一緒なら、これから行く場所が地獄でも無人島でも俺は満足できるだろう。 
多くの疑問点は吹き飛ぶ様に薄れて行った・・・久々に安堵感が心から溢れた。 


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【壱拾四話】

明日はボクらの住んでる国の生誕30周年の祭りが行われる。 
その記念式典として学校で反物質爆弾を作った。 

ウチの学校の先生達は人間だったときはNASAという宇宙船を作る研究所で宇宙船を飛ばすエンジンを作っていたらしい。 

工作の時間のはじまりに先生がボクらに言った。 

「先生達が地上に住んでいた頃は部品や材料が地上に無くて、反物質を作れなかったけど、ココの地表からは簡単に手に入れる事が出来るので、みんなで作ってみましょうね。」 

隣の子が手を上げて先生に質問した。 
「センセーそれはあぶない事ですか〜」 
先生は答えた「そうですね、作り方を間違えたら、頭とか手とか吹っ飛んで死んじゃうかもしれないから危ない事ですけど、どうせすぐ生き返れるでしょ?だから大丈夫です」 

他の子が質問した。 
「爆弾は作り終わったら何処にどうやって使うのですか?」 

「そうですね。」といって先生は少し考え込んだ。 
「あと2.4時間後に丁度ブエノスアイレスの上を通過しますから、そこに落としましょうか?・・・ちょっと校長先生に聞いてきますね。」 

先生は小走りに教室を出て行った。 
先生が出て行ったので、僕らは一斉に窓の所に行って窓から上を見つめて頭上の世界を見つめる。 

頭上に青い星がうっすらと輝いて見えた。 
上には人間の住んでいるブエノスアイレスが丁度あるはずだった。 

隣のジュディという女の子がボクに話しかけた。 
「2.4時間ということは、丁度明日だよねえ?伊藤君」 

「そうだよっ」てボクは答えた。 
ボクらの住んでいるこの大地は地球の上にあって、2.4時間で地球の周りを一周する。 

地球にはまだ、この世界に来られていない人間が沢山残っている。 
北海道とブエノスアイレスに合計500万人生息していると言われていた。 

その可愛そうな人達を助ける為には、爆弾を落として殺してあげなければ、ボクらの世界に生まれ変わる事が出来ないと先生は言った。 

あすのブエノスアイレスへの攻撃の事を考えるとワクワクした。 

しかし、なぜか北海道に関しては禁止令が出ている。 
早く殺してあげたいねえってクラスの友達皆でいつもボクらは話している。 

ボクは以前北海道に住んでいた。25歳の時に死んだらしい・・・でもその時の死んだ時の前後の記憶だけは何故か上手く思い出せないでいた。 


あ、先生が戻って来た。 
「明日、爆弾を飛ばす戦艦を用意してくれる事になりました!みんな頑張ろうね!」 

「は〜〜〜い」 

「さて、今日の授業はこの国に生まれて、立派なことを成し遂げた軍司令官のお話を読みましょう!・・・じゃあ、伊藤君読んでね!」 

「あ・・・はい!!」 
ボクは席を立って、皆に配られている卓上のパソコンから浮遊投影されている表示画面を読み始めた。 



----------------------手記----------------------山中卓郎 

僕は昨日15歳になった。 

人間だった頃・・・と比べるとこの世界での僕らの成長はとても早い。 

空を見上げると青白く光って見える地球が一日が僕らの世界では十日に相当する・・・。 

僕が地球の大洪水に遭った時、僕は5年ほど付き合っていた彼女と鎌倉で結婚式の二次会の主役として、クラブで飲み会をしていた所だった。 
友人の乾杯の音頭ともに「パン、パパパパパパン」と鳴るクラッカーの音、そして突然照明が落ちて非常灯が代わりに点灯した。 

彼女に「こんな演出聞いてる?」と聞いてみた。 
「や〜全然聞いてないよ。普通に乾杯するだけじゃん。」と彼女は言った。 

何秒経ったのだろうか、薄暗い店内の中で店の中にいる友人達が不安を隠せない様子でざわざわと話し出してきた。 

しかし、話し声はすぐに止んだ。 
足元がユラユラと揺れだしたからだ。 
ユラユラは止まらず、暫くすると強くグラグラ揺れるようになった。 
倒れないように彼女を抱きかかえながら、足元のバランスに集中する感覚でなんとか立っていた。 

遠くから「バリバリバリ」と割れ引き裂く様な音がしていた。 
グラグラ揺れる振動に加えて細かな微震動も加わってきた。 
彼女を抱き抱える腕に力がこもった!! 

「!!!」・・・急に足元が浮いたかと思うと、非常灯さえも消え・・・真っ暗になった。 
程なくして窓や扉の壊れる音がして、水がなだれ込んで来た。 
肩まで一瞬で水が迫って来た、暗闇の中で皆友人や彼女の名前を呼び合いながらお互いの位置を確認して手を握り合った。 

突然「ドンッ」という音と建物自体を破壊している様な衝撃が走り、床が斜めに傾いたかと思うと建物ごと地の底に落ちていく感覚がした。 
落ちていく中で大きな家具か何かが僕と彼女の腕の間にぶつかった衝撃で手を離してしまった。 

そして多分、その時僕は死んだ筈だった・・・。 



・・・・・・・・・・・・・・・・ 

気が付くと、僕は白く光る暖かな大地の窪みに寝ていた。 
白く光る大地は奥の方に行く程、空に上がっていく様に湾曲して・・・更に上を見上げると、青く光っている大地が見えた。 


地図で見たイギリスの形をしている模様がゆっくりと左から右に動いている様に見えた。 

何でこんな所に僕はいるのだろう? 

仰向けに寝ている状態から、上半身のみ起こしてみて周りを見渡してみた。・・・人が大勢いた。と言うより皆10歳前後の子供に見える、一定感覚で・・・整理された様に並んでいた。 

皆、僕と同じ様に感じているのだろう、座ったままキョロキョロ見回している。 
男の子も女の子も混ざっていて、皆一様に白いわたみたいなモノで体を隠していた。僕自身も白いわたの様な物を被って窪みの中で寝ていた様だ。 
起き上がってわたを引っ張ると、丁度いいくらいの大きさに引きちぎる事が出来た。 
わたを体に服の代わりに捲いて、体育座りしたまま自分の手や下半身を眺めて見た。どう見ても僕自身も子供の姿である。 

彼方此方に水?の沸いている水溜りがあった、そこには子供達が集まっていた。 
僕は立ち上がり、すぐ近くの水溜りに歩いていった。 
そして、水面を覗き込む。僕自身の顔だった。しかし、子供の頃の顔だった。 
他も子たちも・・・多分僕と同じで自分の顔を確認しに来た様だった。 



呆然と水に映った自分の姿を見つめていると、隣に居た金髪の女の子が独り言を言ってた。 
「なんであたし、子供に戻っているんだろ?」 
するとその隣にいた赤い髪の男の子が・・・ 
「オマエもか〜〜いんやぁ〜わかんねぇ事だらけだなぁ〜、オレは本当は82歳でよう〜ガンで病院で入院していたんだけんども;」 

僕は大抵の日本人と一緒で言葉は日本語しか理解できない。 
しかし、最初の女の子は英語で喋っていて、次の男の子はドイツ語みたい?だったのだが、完全に喋っている意味が理解できた。 

それを発端に・・・直径3M位の水溜りを囲んでいた子供達が一斉にワイワイと話出し始めた。・・・それは、他の水溜りも同様だったみたいだった。彼方此方で子供達が大騒ぎしていた。 

皆の話を聞いていると、やはり僕と同じ様に津波?の被害を受けて一度死んでしまった様だった。2歳の幼児も、若者も、老人だったものも全て10歳前後の子供の姿になって、この世界に来ている様だった。 

話していると、段々意識がはっきりしてきた。 
結婚した彼女も友人達もこの世界のどこかにいるだろう・・・探さなくてはいけない気がしてきた。 

それから、毎日この白い大地の世界を歩いて回った。 

この世界でも毎日明るくなり、暗くなったりしたのでそれを一日として毎日数えながら歩いた。腹が減ると、水溜りに行き水を飲んだ・・・なぜかそれだけで充分な体力を得る事が出来た。 

歩いているうちに、ゴミの山に遭遇する事もあった。 
建材や機械、自動車や家具などの山が彼方此方に点在しており、沢山の子供達がそのゴミの山に集っていた。数日経つと家が建ち始め、数ヶ月経つと道路が整備され、一年経つと自動車が走り始めた。 

この世界で生まれ変わった僕達は以前の記憶も全て記憶していたので、文明は失ってなかったのだ。 
と言っても、生活に必要な環境を整備しただけだった。 
以前は人間だったが、今は人間では無いような気がして来た。 
食欲や娯楽に対する意欲等・・・欲と言うモノが強く思い浮かばなかった。 

ただ、《皆で生きていたい》という気持ちが各々に非常に強かった。 


ニ年たった。ずっと僕は歩き続けていた。未だに彼女や友人に遭える事は出来ないでいた。 
僕は何の為にココで生きているんだろう?って自問自答しながら、ひたすら歩いていた。 

上を見上げると常に地球が東から西に動いていたので、ずっと南側を目指して毎日歩いていた。 
ようやく南端に着こうとしてた時、偶に凄く気持ちが悪くなり動けない時が多くなった。頭の上から重くのしかかる様な圧迫感がして酷い頭痛に悩まされた。 
・・・原因は最近解ってきた。頭痛の時に倒れて空を見上げていると、必ず僕の視界に入ってくるのは、空の上に見える地球のある地域だった。 
そこは南アメリカ大陸の下方にあった。たしかブエノスアイレスと言う地名だったかもしれない。 
毎回、死にそうなぐらい頭が痛くなり、気が狂いそうになった。 
ある日、倒れて動けないでいると、他の人が声を掛けてくれて僕を助け起こして、家に連れて寝かせてくれた。 

個人差はあるがココでは皆、そうらしい。 
部屋で休んでいると妙な話を聞いた。 

ある元研究者が【爆弾】を作ったそうである。 
さて、爆発実験をしようと町の郊外へ行き、爆発させてみようとした。 
しかしここでは花火ぐらいの威力しかない。 

最近では僕らの住んでるこの大地が地球の上を地球自転の10倍の速さで回転してる事もわかっている。 
大地は薄いので、爆発で割れてしまうと大変だから、何らかの大いなる力の作用で大地では使えないかもしれないと考えたそうだ。 

水を圧縮して、噴射して飛ばすおもちゃのロケットにいれ、空に向かって飛ばせてみた。 

空にある、地球の地表近くにまで届いたおもちゃのロケットは物凄い爆発をしたらしい。 

地表はわずかだが削り取られ、実験は失敗に終わった筈だった。 
この様にこの世界で使えなければいけないモノが、別の世界で起動しても意味の無い事の様に思えたからだ。 

しかし、突然翌日に驚くべき事が起こった。 
僕らの白い大地の面積が増えて、その爆発に巻き込まれた人間達がその白い大地から蘇った。10歳の子供の姿で・・・。 

その者達から聞いた情報から考えると、人間たちは地表に700万人程しか生き残ってないと言う事が解った。 
この白い世界で再生している人間が99.9パーセントの66億人強住んでるらしい。 

今の僕らは食欲が無く水だけ飲んでいれば平和に過ごせる。 
水は白い大地の彼方此方から湧き出している、それを飲むだけで幸せな気分になれた。 

最近解った事だが、事故で死んでも白い大地に埋めとけば、翌日五体満足で生き返る事が出来た。 

この世界は飢えや貧困、性犯罪も無かった。 

人間の基本原理としては、種の維持として成長する為に食べて、空っぽの記憶を埋めるべく学習する。そして、学習の過程で文明を協力して築いていく。成長すると性欲が湧き、自分が老いて死ぬ前に自分の副生体である子供を作るのが地球上の人間の原理だった筈だ。 

文明が飽和した今では人間の進化は必要なくなったのだろう。 
僕達は死んでも以前の記憶を伴って、また生まれてくる。 
常に同じ固体なので副生体である子供を作る必要はない・・・ので性欲は無かったし、生殖機能も多分無いだろう。 

ただし、人間の時と同様に女性の美しさに心を奪われ、女性は体力的や行動の面で男性に憧れている所はそれほど変化は無い様だった。 

しかし、食べる事、欲に心を奪われる事が無くなったので、生きる為に必要な共同の建設作業や教育以外の時は穏やかに皆物思いにふけっているか寝ている。 

しかし、一つだけはっきりとした【欲望】があった。 
それは【仲間を増やす事】だった。 

空に見える地球上には、人間の残り0.1%に当たる700万人が生き残っていると言う。 
この平和な世界にどうしても導いてあげたかった。 
地上では、今でも人間同士の殺し合いや性的犯罪、飢餓などが続いており・・・過去から考えても【地獄】としか思えない世界である。 

それに未だに見つからない、僕の恋人や友人は・・・きっとあの空の上の地球のどこかで過酷に生きているに違いなかった。 

・・・救ってあげたい。 

僕はここで、もっと強力な地上に対する殺傷兵器を開発する事にした。 
水ロケットではどこに飛んでいくか解らない。ピンポイントで強力に打撃できる施設が必要である。 
13歳の時にこの白い世界をひたすら歩いてて、利用するには丁度良いモノを見つけていた。 

見つけたというより、呼ばれてしまったのかも知れない。 
1950年に沖縄沖に沈んだ世界最大の軍艦【戦艦大和】。 
北端の人気の無い所にばらばらの残骸になって点在していた。 
ばらばらになっていたのに一目見ただけで、この船だと解った。 
人間だった頃のさらに前の人生では乗っていたことがあるかも知れないな。と感じた。 


この世界では、人間だった頃のテクノロジーが更に短時間に革新されて、レストアレーションの技術も、すでに人間の考えも及ばなかった技術にまで昇華した。 
戦艦大和が2年経った今では元の姿を完全に取り戻して、オレの目前にそびえていた・・・。 

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「は〜い。ありがとう伊藤君。みんなも最近こちらの世界に来たばかりですよね。わからない事だらけだとは思いますけど、沢山勉強して立派な存在になってくださいね!」 

ボクは質問した「先生、じゃあ山中提督は今は40歳になるんですか?」 
「そうですね、25年間ずっと戦っている素晴らしい方です!ここにいる皆も大抵は山中提督に殺して貰ったんじゃないかしらね?・・・ココに来れた事を山中提督に感謝しましょうね!・・・あ〜伊藤君は違うみたいね。」 

「ボクはそこら辺だけ思い出せないんです」と答えた。 

「秘匿事項に関わっているみたいね!」と先生は言った。 

秘匿事項ってなんの事だろう。 
凄く気になったが、自分が思い出せないのであれば仕方がない。 

さて、これから工作実験室に行って、爆弾の製造をする。 
直径46cmのデカい砲弾って聞いてる。 

46cm砲とは戦艦大和の砲弾サイズだ。 
明日は山中提督にもしかしたら遭えるかもしれない。 
胸が高鳴った!!! 


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【壱拾五話】------ Coming Soon-------

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